20代、ファッション雑誌の読者モデル。主訴は「 左右で顔の輪郭が違う。左のエラが張っているので、親知らずを抜くと少しはマシになる?と聞いた。あちこちの歯医者に尋ねてみたが、神経が近く危険なため嫌がられ全て断られた。
静脈麻酔アリで抜歯を希望しているが、コラーゲンまで入れてくれる歯医者は何処にもない。腫れるのは嫌だし、入院も厳しいので日帰りを希望している。編集長の紹介で来た。」でした。
CT画像で確認しても、あご骨にほとんど埋もれています。私の感想「本当に抜く必要あるのかな?(私の本音)」でした。
〈CT画像:正面〉
横向きの親知らずの頭を切断する時に神経を傷つけ、麻痺が残ると言われています。アゴ骨の中で、この微妙な短距離は誰が見ても危険極まりないです。
〈CT画像:真横〉
ここでも本音を言いますが、絶対に抜きたくない親知らずの生え方をしています。
「麻痺が残ってもいい」とまで言って下さいますが、絶対に避けなければならないところです。
事前に充分説明した上で「どうしても美しくなりたい!」という気持ちが勝っておられた為、全力で協力することになりました。
歯茎を開くとCT画像で見たとおり、親知らずの端の頭がほんの少しだけ見えました。
親知らずの頭の部分を明示できるように、周囲の骨を削りました。
切削用メジャーを用いて、切断距離に間違いのないよう慎重に削る準備を行い、ノコギリのように切削を進めました。
無事に歯の頭の部分のみ、切断が完了しました。
頭の部分のみ骨から取り出します。
続けて残りの根の部分も取り出すことが出来ました。
抜いた後の骨の穴から、 太い神経が走行しているところを確認しました。
ドライソケットを防ぎ、止血を早め、歯茎の早期回復を狙って、自分の血液を用いて院内でコラーゲンを制作し、それを歯を抜いた穴の中に十分埋め戻しました。
抜歯から2週間経過しましたが、幸いなことに「どこも麻痺が出ることなく、快適に過ごされている」との事でした。
双方かなり緊張して取り組んだ親知らずの難抜歯でしたが、良い結果になってホッとしたところです。
元気・やる気・Dr.鈴木のコラム
2024/7/16
7/16(火) 美への追求 麻痺が残ってもいいから抜いて欲しい(親知らず)











