60代の女性医師。主訴は「先生に接着剤で止めてもらっていた前歯がはずれた。グラグラで引っ張ったら抜けそう。鼻の下辺りも、朝 顔を洗っていたらなんか変。どうしよう?」でした。
Dr.S :「噛み合わせが特殊なので難しいです。入れ歯は下の前歯が歯肉にまで突き上げているので、入れ歯の厚み分が収まりません。ブリッジが一般的な治療ですが、神経を抜いたり、冷たい物にしみて痛くなったり、被せ物が割れたりとあまりオススメ出来ません。40万近い治療費にはなりますが、インプラントなら入れ歯やブリッジの心配事項をクリア出来ます。」
患者様は、抜歯した同日に、インプラント移植と、骨の増強を一度に行う治療を選択されました。また、仮歯を付けて帰る事も希望されました。
自己血液を使って、フィブリンの塊(CGF)を院内で作成します。
この成分は、単に患部の痛みや腫れを抑えるだけでなく、人工的な骨の造成を手助けをしてくれます。かなり頼りになる逸材です。
動物由来でない人工骨(β-tcp)にCGFを混ぜることで、粉々から一塊に変わります。
かなり、操作性が良くなります。これを使って、骨の不足している部分に補填します。
インプラント移植が完了したレントゲン。インプラントの半分位が上顎の骨で満たされていません。
その不足している部分に先程の人工の骨を補填します。
手術当日の仮歯。わざと、薄く、短く仕上げています。
手術から3ヶ月後の状態。色見本を参考にしながら、セラミックの前歯を最終完成させていきます。
指示したインプラントの前歯が完成してきました。どのような仕上がりになっているのか、ワクワクします。
手術時の傷口は、キレイに治っています。インプラントを装着する部分の歯肉だけが円状になっています。
完成です。インプラントのおかげで、歯を削らずにすみました(ブリッジ)。入れ歯の金具もありません。他の歯に迷惑をかけることなく、前歯が再び、独立、誕生しました。
〈患者様の感想〉
・接着剤(歯科用のスーパーボンド)で止めていた頃は恐る恐る噛んでいたが、今は何でも噛めるようになった。
・その分、早く噛めるようになったので、逆にもう少しゆっくり、咀嚼回数も考えながら食べるようにしないとね。
・前歯も自然な感じでいいわよ!
〈Dr〉
お疲れさまでした。やはり、インプラントを移植した日に、仮歯を装着されて帰られる患者様の場合は、本当に最後の最後まで緊張します。
上手くいって何よりです。仕事の合間にメンテナンスに来て下さいね。
元気・やる気・Dr.鈴木のコラム
2019/12/1
スーパーボンドも破壊 グラグラの前歯をImpが救世