元気・やる気・Dr.鈴木のコラム

 2017/4/24 

どこへ行っても断り続けられた抜歯
カテゴリ:歯科全般 親知らず 

横向きの親知らずを静脈麻酔鎮静法で抜歯 HPより30代の女性。主訴は「左奥の歯茎が、うずき出して痛い。実は一度、10年前に長い時間をかけて抜いてもらったが、中途半端に終わった。当時の先生云く『全部抜けてないけど大丈夫。全く心配ないよ』と言われた。えっ?残してても本当に大丈夫なん?と耳を疑ったが、あの時の痛みと恐怖を思い出すと残りを抜歯する勇気がないまま今日に至っている」でした。

難し過ぎる親知らずの抜歯を静脈麻酔鎮静法で抜歯する歯の頭の部分だけ抜き取られていたため、10年の歳月を経て横向きの親知らずが1㎝程前に前進。その結果、手前の歯と新しく出来た上からの骨と歯肉に覆われているため、抜歯を行うには更に条件が悪くなっていました。
横向きの親知らずは歯肉に完全に覆われている超難抜歯 今までこのような抜歯の経験がないうえに、顎関節症のため口が大きく開きません。さすがに私もお断りさせていただきました。しかし、大きな病院で相談したところ「全身麻酔を行い、入院しないと抜歯は出来ない」と返答されたらしく「なかなか入院する時間もないし、なんとかここで抜歯してもらえませんか?」とのこと。実際、2時間以上の長時間 抜歯が予測されるため、必ず静脈麻酔鎮静法(保険適用)を使って抜歯を受けてもらうこと。更に相当の損傷が予測されるので、採血した自己血液を使って無添加フィブリンの塊りを遠心分離器で製造し、それを抜歯痕に戻す(無料)ことを条件に、抜歯の依頼を引き受けました。
※当院は、再生医療における特定細胞培養加工施設の認可を得ています。
静脈保険適用 麻酔鎮静法で親知らずの抜歯 本日も昼休みを使って難関抜歯に挑むこととなりました。静脈麻酔鎮静法は点滴を使用しますので、血圧をはじめ、痛みや腫れを薬液を使ってコントロールします。
自己血液からフィブリンの塊りのみを製造
フィブリンの塊りを抜歯痕に入れて傷口早期回復 大幅な痛み軽減 採血した自己血液を使ってフィブリンの塊りを遠心分離器で製造し、それを抜歯痕に戻すところです。これで、傷口の損傷、痛み、腫れはかなり抑えることが出来ます。従来、当院が無料で使用していたテルプラグ以上の効果があります。
横向きの親知らずを静脈麻酔鎮静法で抜歯午後の診察前までに、なんとか無事に抜歯が終わりました。
〈患者様の感想〉
•局部麻酔をした記憶がなかったので「麻酔なしで抜歯をしたの?」と思った。
※静脈麻酔鎮静法を始めて直ぐに局部麻酔を通常通り行っています。
•パニック症候群をもっているが、全くドキドキや不安はなかった
•痛くて途中で目が覚めたような気がしたが、直ぐに痛みは治まった
•2時間も経っていた感覚はなかった
•10年前の抜歯よりもすごくすごく楽だった
〈術後3日後の消毒〉
•腫れはない。口が少し開けにくいくらい
•痛みも薬を飲めば十分に治まる程度

お疲れ様でした。私もかつて経験したことのない超難抜歯でした。親知らずの上に骨が覆い被さり、舌と奥歯と出血が親知らずの視野を遮り難航しましたが無事に期待に応えられて良かったです。抜歯を手伝ってくれたアシスタントも本当にがんばってくれました。
※お昼休みは、ほぼ毎日静脈麻酔鎮静法を使って、親知らずの抜歯やインプラントの関連手術を行っています。 予約は数ヶ月先まで難しくなっていますが、まずはお電話下さい。少しでも皆様の期待に応えられるようにがんばります。
静脈麻酔鎮静法 保険料金 〈追記〉
抜歯から1ヶ月後の状態です。抜歯痕が、短期間で驚異的に回復していることがお分かりでしょうか。 (抜歯痕の傷口が塞がるまでに、通常5〜6ヶ月ほどかかります。)