50代、富山県在住の女性。
主訴は「親知らずは歯肉で隠れているのに指で押すと白いクリーム似のネバネバしたエキスが奥奥の更に奥の歯茎から出てくる。それが臭くて変な味がする。時々、肩、顔面、首筋、腕にまで違和感が出てくる。その度に抜歯の相談に歯科医院へ行く(計5件)も全て断られる。理由は『親知らずと神経が近い。抜歯の際、麻痺が残る可能性があるのでウチでは出来ない』とのこと。やっと富山の総合病院で抜歯をすることになったが、いざ抜歯が始まるという時に、緊張のあまり過呼吸で意識がモウロウとなった。結局、抜歯は中止となり今にに至っている。」でした。
ネットで調べてわざわざ大阪まで御主人と一緒に来て下さった患者様。
CT撮影をしてより詳しく親知らずの走行を精査、診査診断することにしました。
親知らずを抜歯するには歯の頭部(ど真ん中)を切断しなくてはなりません。
この施術の時に謝って骨の中を走行している太い神経を引っ掛けてしまい麻痺が起こる事を心配されているわけです。
【CTで横から診査】
この患者様の場合、神経まで2.1㎜しかありません。
また根はくびれて、大の字に広がっています。
かなりの難抜歯になると予測出来ます。
【CTで正面から診査】
やはりかなり危険な抜歯になりそうです。
静脈麻酔鎮静法の説明、抜歯穴へのCGF(コラーゲン)の説明、抜歯後の予測される経過を説明したうえで、いったん富山に帰ってもらいました。
※ Dr「どうしても当院での抜歯を希望されるのなら後日やります」と伝えました。
初診時から1ヶ月後、抜歯依頼を受け、慎重に施術を行いました。
頭と根の境目は大きくクビれ、歯根は大の字に開いていたため、時間を要する抜歯(昼休みを使って対応可能に)になりましたが、無事に完了しました。
術後の抜歯穴に自己血液由来のCGF(再生医療等安全性確保法に基づき厚労省認定施設:番号FC5160041)を十分に入れて、痛みや腫れを抑える様にしました。
その後、電話でのやり取りでは、しびれや痛みは全くなし!、通常の生活を過ごしていると安堵の連絡を頂きました。
元気・やる気・Dr.鈴木のコラム
2023/5/24
5/24 神経まで 2.1 ㎜の攻防(親知らず)